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孤盲猫を撫でる 3 ホモォの近代化 のお話 3 南京路に猟奇の花咲く 何事も不思議なけれど [歴史関係]

 昭和直前に日本は関東大震災という天災に見舞われます。これがその後の歴史や文化に与えた影響は非常に大きく、わりとイケイケだった大正ロマンは、退廃的な昭和エログロナンセンスに移行していきます。勿論大正の段階で退廃的な兆候はあるわけですが、震災からこっち、政治的な混乱・経済の失敗の連続による不況・軍部の台頭等々、世情が後ろ向きに加速していた時代でありました。
 そして満州事変(1931:S6)-支那事変(1937:S12)-太平洋戦争(1941:S16)-敗戦(1945:S20)とずーっと戦争していたこの時期は、隔絶した男社会が社会原理になっていた時期でもあったのでした。ただし、それはわりと闇に満ちており「そういう話だった」という述懐が残っているばかりです。

 1926(S1)-1945(S20)
 この時期ホモォ、に関する記述のある書籍は1936(S11)で一旦見あたらなくなります。大きくは1934(S9)の出版による規制の影響と思われます。新聞記事では1935(S10)にジャワのバンチーに袖を引っ張られるというのがありました。
 やや横道にそれますが、大正以降ホモォに関しては支那や東南アジアには今(その時代)でも男娼がいる云々であるとか、パリやロンドンにいてホテルで誘われる、と言った記述をまま見ました。これは日本の方が文化的に進んでいて不逞の輩はいないんだというものではなく、洋の東西を問わずどこにでもいるもんだというものであるのですが、恥ずべきとしながら海外でのそうした行為には批判をしていないというダブルスタンダートが存在しています。
 さて。大正期には女装癖を含めたホモォはもう見せ物扱いというか、猟奇的な犯罪として新聞は扱っています。例えば1918(T7)女装癖のある男と同棲した男性の親が、相手(女装者)を化け物扱いする、と言ったものはその典型です。それに対して昭和初期のエログロの世界では微妙に扱いが違っていたようです。
 『闘性術』(1928:S3)という本では男色は精神異常ではないという西欧医師の記述を引用しており、ホモォに一定の理解を示しています。またこの本は男色は男と男なのに女色が何故男から女なのか、男色に呼応するなら女性のそれでなくてはならないのではないか?と言った事も書いています。闘性術に対し『日本民族恋愛史』(1930:S5)では江戸時代の男娼にふれ、当時の人は全て変態性欲患者(今でいうなら精神病患者、と言うところでしょう)であったと述べています。このように、立場の違う論が並立していたのが昭和初期でした。
 ちょうどこの頃江戸川乱歩が『孤島の鬼』の連載をしており(1929:S4)、岩田準一が『本朝男色考』の連載(1930:S5)をしています。エログロナンセンスという中ではありますが、ホモォに光をあてる動きがあったことは画期的なことだったと思います。また、『社会ユーモア・モダン語事典』(1932:S7)にはエス(今でいうレズ)・シス(同性愛)・陰間が収録されており、その行為の有無はともかく、話題としてあったことがうかがわれます。
 ですがこうした動きはやはり本流ではなく、最初に述べました通りホモォは「猟奇的で」「物珍しい」存在だったように思います。『実話ビルディング:猟奇近代相』(1933:S8)には男色趣味の華族の話があり、その相手の女装者のインタヴューが載っています。これはまさに猟奇的で物珍しい世相記事でしょう。仮名なので誰のことかは分かりませんが(棒、モデルがあるとすると京都の公家出身の華族ではないかと思われます。この華族が生来ホモォだったのか、学生・軍人時代にそうなったのかは不明ですが、上流階級にそう言う人間もいた、と言うことでしょう。
 1940年代はおよそそう言う記述は見つかりません。例えば『過つ少年工』(1941:S16)には、不良や喫煙・飲酒と言った話題は出てきますが、ホモォは微塵もありません。軍隊生活に関しても全くなし。女性生活についても『皇国女鑒』(1941:S16)に年中行事としてクリスマスを祝うという話題(?)がありましたが、同性愛のようなものは見られませんでした。無かったとは思われませんが、まぁ闇の中です。

さて、次回で最後。とはいえ戦後は自分と同時代のこととか、もう少し年齢層の高い人にとって同時代史であり、「それはちがう!」というお叱りがあるかと思いますが、そこは生暖かくご覧下さい。
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