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孤盲猫を撫でる 3 ホモォの近代化 4 MW [歴史関係]

 戦後については極軽く。
 敗戦後の資料は近デジでは1950(S25)までしか検索できません。この中で唯一目についたものは『性的犯罪者』(1947:S22)で、この中に4-50年前、つまり明治の終わり頃は稚児の情話殺傷があったが最近はない、と言うことが書かれていました。三橋女史の話によれば、それでも敗戦直後には上野に男娼がおり、そこそこ活動していたとあります。
 カストリ雑誌を経て1960年代には『風俗奇譚』(これは正確にはSMを含んだアブノーマルな雑誌ですね)が存在していたことから、表現としてのホモォはある程度復権していたようです。60年代と言えば、東郷健がカミングアウトしたのもこの頃です。
 70年代は「性の解放」がうたわれた時代でもあり、リアルホモォの人も世に出てくる時代です。雑誌もいわゆるホモ雑誌創刊が相次いでいます。東郷が「おかまの東郷」と連呼したのもこの頃。そして左翼がおかまは病気、と東郷に噛みついたのも。80年代、一旦リアルホモォ側は下火になります。1981のHIV発見以降の風当たりによるものです。

 これら女装者やアブノーマル嗜好の集まりと全く違う、少年愛の流れがもう一つの潮流かな、と考えています。流れの濫觴にいるのは江戸川乱歩と稲垣足穂と考えます。特に稲垣の『少年愛の美学』(1968:S43)が日本文学大賞を受賞し、ブームの火付け役になったことが社会的に認められる最初の扉ではないかと。
 60年代森茉莉の「枯葉の寝床」などが栗本によって評価されるのは70年代に入ってからで、社会性を持ったという点では稲垣以後、以前、と言うように自分は考えています。ベニスに死すも日本では70年代です。これは個人的な見解であり、その渦中にいた方々から見れば「何言ってやがる」と言うことになりますが。やおいはCOM→ぐらこん→コミケ、と言う流れで生まれていくと思いますが、ここに何が影響したかというのは人によってまちまちで難しい。
 アメリカのSFとかファンタジーも同性愛のタブーから解放されるのは60年代だったかと思います。で一般的にスタートレックのスラッシュフィクションをやおいの始まりとするものが多いのです。が、どちらかというとあれはリアルホモォ、なところが多いと自分では考えています。現代のBLのリアリティの希薄さはスラッシュフィクションとは一線があるのではないでしょうか。ちなみにアメコミでは90年代まで確実にゲイだという人物は出てこないそうです。
 この後マンガでは萩尾望都・竹宮恵子が70年代に少年愛系のマンガを発表し、同時期に始まったコミケにははじめからこうしたやおいの原型が垣間見えると言ったところです。手塚が同性愛を本格的に取り上げるのもこの流れの中ですね。
 80年代、リアルホモォの下り坂に対し、やおいという形式は拡大していきます。
 現在のリアルホモォな皆さんと2次元BLに溝があるのはそもそも流れが違うから、ではないかと思っています。



 と言うことで、ざっと近代日本のホモォについて考えてみました。まとめるとこんな感じ。

0 幕末から現在にかけて、いくつかの流れが細々としかし連なって存在している

1 幕末、江戸では既に陰間は衰退していた
2 維新期に薩摩が持ち込んだ男色があり江戸の陰間とは違う流れとなる
3 薩摩の風習が学生や軍隊において機会的同性愛として明治期に存在するも末年には衰退
4 大正時代以降は「精神異常」的な扱いであり、社会的には珍しい猟奇的とされていた
4.5 大正末~昭和初に後の少年愛や文学的なそれの萌芽
5 昭和初期(戦前)には精神的な部分については反駁があったが、社会的には大正と同じ
6 戦後はゲイと仮想的な少年愛という全く違う流れが並立していると考えられる
と言うところでしょう。

 これは自分の記憶なので価値は低いのですが、上野のゲイ映画館周辺がハッテン場であったと言うことは記憶があります。そして江戸時代にこの辺に陰間茶屋があったこと、戦後もゲイのたまり場であったことから、ここがずっとハッテン場であったと見ていいでしょう。
 また、自分が高校生の頃(S50頃)、まだ戦前から教師をやっていたという豪傑がそこそこ残っていた時代ですが、この中にそれ系の教員がいて、担任したクラスの可愛い子を自宅に泊めてパーティーをしていました。また大学には折口の学派の正統的なゼミがあり、ゼミに入る基準が「可愛いか」。と、まことしやかにいわれていました。今はどっちの学校もそれ滅んでいると思いますが、少なくとも1980年代初頭、明治以来の学生間のホモォはその残滓を見せていたと思われます。
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 おまけ
 参考にした本
 『女装と日本人』(三橋順子:2008)
 『本朝男色考 男色文献書志』(岩田準一:2002)
 『少年愛の美学』(稲垣足穂:2005稲垣足穂コレクション5)
 『NASA/トレック-女が宇宙を書き換える』(コンスタンスペンリー/上野直子:1998)
 
 参考文献(近デジ所収)主なもの
 『男女生殖健全法』(1900)
 『川柳吉原誌:江戸研究』(1916)
 『神秘なる同性愛』(1920)
 『闘性術』(1928)
 『実話ビルディング:猟奇近代相』(1933)
 『性的犯罪者』(1947)

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